前住者の方が育てた野草である。
北海道では野山に行くと、運が良ければ遭遇すると思われるが、本州でも標高の高いエリアではみられるのではないか。ただ希少価値の食物らしく春先になると求める方が少なからずいるらしい。
注意を要するのは、行者ニンニクに似た野草で蘭科の植物を間違え採取して、食中毒になる方が毎年現れる。毎年ニュースで報道される。今年も亡くなった方が現れたようだ。
さて、この行者ニンニクはその名の通り修験者などが体力回復のために好んで食べたという。
近隣の方々もその効果を期待して、この時期求めるのであろうか・・。
私などは苦労せずに手に入るものだから、有難みがさほど沸かないが、ニラの一種だと思って採ってきて、調理に使っている。
採りたての行者ニンニクは、その名の通りニンニク臭さがするのであるが、体力回復のほどは殆ど判らない。しかし春先に生える野草だから、長い冬に蓄積された大地のミネラルをはじめとした栄養を、たっぷり含んでいるものと思われ、私の健康維持にも少なからぬ寄与をしているのかもしれない。
行者ニンニクを食べる度に私は、鎌倉時代初期に蝦夷地に渡った甲州金山(かなやま)衆も、春先には渡島(おしま)知内で食べたのだろうかと、思ったりもするのである。
牛歩

