昨日の帯広駅前はお昼で、気温は13度であった。
そこから1,200kmほど飛行機で南下した羽田はPM4時頃で31・2度という事だった。
天気予報を見て今週は30度台が続く、という事で覚悟はしていたし半そでのシャツだったから、多少ムッとはしたがこんなもんか、といった感じだった。
問題は帯広の方で、この6月下旬でも時折13度なんてことがある。
街ゆく人の多くが長袖着であったが、彼らの方が環境に適応していることを示していた。
北海道がずっとこうかというと、決してそうではない。
この前の23・4日の週末は、25・6度で将に初夏の陽気だったのだ。
しかし油断していると、昨日の様な気温にもなるのだ。
やはり北海道の気候は、寒冷地適用なのだ。言うまでもないか・・。
帯広空港に向かう間、南十勝の大樹町からバスで帯広駅前に105分ほど移動した。距離的には7・80kmである。ちょっとした旅行である。
かつて国鉄の広尾線が開通していた頃は、1時間足らずで帯広にも行けたのであろうが、私が越してくるずっと前に廃線に成っていて、私は利用したことがない。
その105分程度の間私はバスの最後部座席で、過ぎ行く広大な十勝の畑や牧草地を眺めていた。
この季節だと「ジャガイモ」「デイトコーン(トウモロコシ)」「甜菜(グラニュー糖の原料)」「小麦」といった農作物が、緑の葉を大地の絨毯のようにして見渡す限り拡がっている。今年は天気も良く、適度に雨も降っていて十勝の農作物は順調に育っているようだ。
2・3年前みたいに夏場に台風が北海道に上陸することが少なければ、豊作に見舞われるであろう・・。
帯広近郊は「ジャガイモ」「甜菜」「小麦」「長芋」といった作物が主流であるが、わが大樹町は天候が安定しない土地柄であることから、上記作物ではなく酪農が主体である。
将に寒冷地で、痩せた土地と言われるエリアだから帯広辺りの農作物は育たない様だ。
その代わり牛や馬の畜産物の繁殖や育成には適しているようだ。
安田義定公の領地「乙女高原」「朝霧高原」「森町三倉」「笠原の牧」と似た自然環境なのである。
酪農の盛んな大樹町は5,500人程度の人間に比して、3万頭前後の牛が飼育されているという。ざっと6倍といったとこか・・。
今の大樹町では、横浜市よりも広い町域において盛んに牧草の刈り取りが行われている。
そしていたるところで、と言っても牧草地でだが「牧草ロール」が造られゴロゴロと転がっている。直径1.5mほどで400kg弱の牧草ロールは、半年ほど先にやってくる冬に備えた備蓄なのである。
因みに牧草ロール400kgは、牛1頭が一ヶ月に消費する量なのだそうだ。
北海道の農民たちはみなアリさんなのである。来たるべき寒い寒い冬を見越して初夏から晩秋にかけて、2度にわたって牧草ロールを造っている。私の様なキリギリスには到底真似ができない。
今日のように日が永い初夏は、早朝4時頃から日没7時過ぎまでの長時間を、アリさんのように働いている。
それを見るたびに十勝の農民たちは働き者だと、つくづく想いリスペクトしてやまない私である。

